Embedded Test 00 · 目次と学習の進め方

Chapter 00

目次と学習の進め方

この編の狙い.

生成 AI にコーディングさせた組み込みシステムを、ソースを見ずに外側からテストする—— 電源・信号・バス・無線・デバッグポートから状態を読み、刺激を与え、堅牢性と守りを試し、 それを自動の仕組みに育てる。「外から観測できるものには、必ず内部の手がかりがある」を出発点に、 対象ごと(電力・デジタル・アナログ・BLE・Wi-Fi・SDR・USB…)の手順と道具を実務の順で並べる。

この編が生まれた背景

生成 AI がファームウェアを書く時代になった。動くコードはすぐ出るが、省電力の抜け・境界の取り違え・ 例外の未処理・認証の省略・長時間の劣化といった穴が残りやすい。しかもソースは AI が書き換え続ける。 だから「外から・繰り返し・自動で」品質を確かめる技術が要る。本編はそのための道具箱である。

前提

ブラックボックスとは — この編の立場

ブラックボックステストとは、内部構造(ソース・回路の詳細)を知らない前提で、入力(刺激)と出力(観測)だけから機器の正しさを確かめる手法である。本編は外部観測を主役に据えるが、開発中に使えるグレーボックス(デバッグポート経由で内部を少し覗く、08 章)も、役割を分けて活用する。

章の構成

部章内容
I. 土台01 ブラックボックステストとは白箱との違い・オラクル問題・観測点
02 テスト設計の土台刺激/観測/判定・再現性・テストダブル
II. 配線で触れる観測03 電源と消費電流から状態を読むシャント・PPK2・波形で状態分類
04 デジタル信号の観測ロジアナ・オシロ・サンプリング・デコード
05 UART とシリアルコンソール線探し・ボーレート・フレーム
06 I²C と SPIバス盗聴・偽センサの注入
07 アナログ周辺とセンサDAC/ADC・PWM・境界と校正
08 デバッグポート経由の観測SWD/JTAG・RTT/SWO・グレーボックス
III. 無線を見る・つつく09 BLE ① 仕組みと状況把握GAP/GATT・アドバタイズ・スキャン
10 BLE ② 能動テストとファジングread/write/notify・境界と順序・切断耐性
11 Wi-Fi とネットワークnmap・キャプチャ・プロキシ・API
12 サブGHz・独自無線と SDRRTL-SDR・スペクトラム・変調解析・法規
13 USB とその他有線記述子・usbmon・Facedancer・CAN
IV. 質を測る・追い込む14 タイミングとリアルタイム性レイテンシ・ジッタ・観測の擾乱
15 HIL(ハードウェア・イン・ザ・ループ)世界を模擬して自動テスト
16 ファジングと堅牢性・長時間試験枯渇・電源環境ストレス・ソーク
17 セキュリティのブラックボックス攻撃面・秘密・認証・サイドチャネル
V. 仕組みにする18 テスト自動化ハーネスを作る三層設計・pytest・計測器連携・CI
19 自作ツール作る/買う・注入エージェント・解析
20 テスト計画とケーススタディリスク×面・層・BLE 温度ロガー通し

読み方の提案

手を動かす仕掛け

各章の末尾には、その章の観測・注入・判定をブラウザ上で体験できる対話デモを置いた。 電流波形から状態を読む、UART のボーレートを割り出す、BLE アドバタイズをデコードする、 レイテンシのばらつきを見る——実機がなくても、考え方を指で確かめられる。

関連する編